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SOLLADOカメラについて


終わってからまとめようまとめようと思ってたら、ずいぶん時間が経ってしまったけど、今でも考えるので自分のためにまとめます。

園井が最後にカメラを取って「全部撮影してたよ」というのを示す、あのカメラについて。いろいろ思ったけど、いかんせんこれふわっとした考察なので話半分で読んで下さい。

前提として私は、大学でドキュメンタリーをメインに映像の勉強をしています。というとなんか素敵っぽいですけど、具体的に言えば半期に1本取材に行って撮影して編集して、という作業をするゼミに入っているだけです。加えて2コマくらい授業で報道番組とかドラマとかの研究をぼやっとしています。まあけど、それでも一応映像の勉強をしています。

それで、SOLLADOを見たときにどうしてもカメラに引っかかってそのままいろいろと考えました。

カメラを設置した、ということは、誰かに見せる気があるということです。視聴者がいる。園井は視聴者になにを見せたかったから、カメラを仕掛けたのでしょうか。

あのカメラに撮影された映像を見たときに、視聴者はどのような感覚になるかなぁ、というのは結構わかりやすいな、と思います。園井が出したあの一つのカメラだけに関して言えば。

ロールプレイングが行われている間、あのカメラは動かされることなくあの食器棚に置いてありました。同じ場所を同じ角度で写し続けています。定点カメラ。この映像を見たときにまず連想するのは、監視カメラじゃないでしょうか。そして、監視カメラの映像を見ると結構無意識的に「手が加えられてない」「信頼出来る」「証拠になる」というのが視聴者の意識の根底に浮かぶかな、と。
要するに「ここに映ってることは、全て真実です」という印象をつけるにはバッチリです。

テレビ番組の内容は、大きく二つに分類できると思っています。
ドラマとかバラエティとか、演出や台本があって撮影者の意識が入ることを前提に、「本当のことじゃない」可能性を全員が周知してるものと、ニュースやドキュメンタリーみたいに演出も台本もあるのに撮影者の意識は入らず、「中立の立場で嘘をつかない」とみんながなんとなく信じているもの。

あのカメラの映像は後者です。

だけど、あのカメラすごい勢いで中立じゃないじゃないですか。

私はあんまり空間把握能力が高くないのであれですが、空間把握能力の高い友人が、奥の部屋とトイレと玄関前と下手のテーブルの前と…ってたくさん死角があることを教えてくれて。
あの部屋確かにめちゃくちゃ死角が多い。そして死角が多くなるようにカメラを置いたのは園井です。カメラを置くという、撮影すら始まってないこのスタートから主観が入ってる。
定点カメラにしたのも、意図してると思います。だって彼は心理学の先生で、その映像を見た人がどう思うかくらい想像がつくはずだから。

ドキュメンタリーは嘘をつく」という森達也という監督の作品があります。SOLLADOを見たときに近いな?と思いました。出てくる人が全員演技をしているドキュメンタリーで、最後にネタバラシがあるんですけど、やっぱり見てると「これは本当のことだ」って思うんですよね。あの映像を見た人も同じことを思うんじゃないかなあ。

記録映像としてざっくり撮るというのはわかるし、それが多分正解かもしれないですけど、記録映像ならもっとたくさんカメラがあった方がいいデータになると思います。死角なんてなるべく少ない方がいいし、あそこ以外にもたくさんカメラを隠す場所がある。

でもフォロワーさんに、「あの部屋にカメラはあれだけ?」と聞かれて、「はい」と言いました。

私が園井の立場であの部屋をくまなく撮影しようと思ったら、固定カメラ3台とマイクをテーブルと自分につけて、ウェアラブルカメラという小型マイクを自分か伊木につけておくかな、と思います。素人のざっくりした感覚として。そうしないと部屋全体は写せない。

園井が提示しなかっただけで、もしかしたらまだたくさんカメラが隠されてるかもしれないし、多分それは自分の考察にあってる説を取るのが楽しみ方として正解だと思っています。
なのでここからはただの私の考察です。

あの固定カメラ一つだけで、抑えたい場面は全て抑えられています。イマジナリーフレンドと話す場面も首を絞められる場面もお父さんを召喚する場面も。
ドキュメンタリーをとしてあれが出てきたら、あまりにも決定的な場面を捉えすぎている。し、そうするには「仕掛けがないと無理」。
でも、あれがドラマとして提示されれば、それは演出上可能です。「イブのために」のような、フェイクドキュメンタリードラマみたいに成り立つはずです。

私が園井と世名貫は共犯だと考えている話は、前回のエントリーの通りです。
心神喪失って裁判で決めるそうですね。監視カメラって、れっきとした証拠になるだろうな。 


以上です、お付き合いありがとうございました。